キャンピング・トランスポーター(1)

昨年購入したスズキのエブリイワゴンをオートバイを積載してキャンプに行くためのトランスポーターとして、また荒天時には車中泊ができるように改造することにしました。第1段階は、今回の新型コロナウイルスによる自粛期間を使って、車体の防振加工と内装の断熱加工をDIYしました。

防振加工の作業は、内装を全て取り外して外装の(ルーフ、ドア、フロアーなど)鉄板の裏側に防振材を貼り付けて、鉄板が振動(共振)するのを防いで防音性能を向上させるものです。断熱加工の作業は、各内装のパネルの裏側や防振加工した面の上から断熱材を貼り付けて保温性能を向上させました。

使用した防振材と断熱材

今回使用した防振材は(画像では上側の銀色のシート)、日東電工のレジェトレックス(1000×500×1.5mm)という製品で、厚手のアルミ箔にブチル系ゴムが塗布されているものを6枚、ハサミで適当なサイズ(短冊状)にカットして使用しました。

また断熱材は(画像では下側のブルーの箱)、zspowertech 車用断熱マット(1400×1000mm)のという製品(HIM140BH)で、ガラス繊維アルミ箔に発泡性天然ゴムが貼付されているもので、厚さ5mmを2枚、7mmを4枚、10mmを3枚使用しました。

両方の材料はAmazonで購入できました。その他に近所のホームセンターの建材売り場で販売していた、住宅用断熱材のファイバーグラスも内装の裏側にある隙間を埋めるために使用しました。

使った道具

車の内装パネル類(内張り)は、目立たないように固定するためにプラスチック製のクリップ・ピンという部品で車体に取り付けられています。このクリップ・ピンで固定された内装パネル類を取り外す際に専用工具(画像の左側)があると比較的簡単に取り外すことができます。あえて「比較的簡単に」と言った訳は、固定するために使用しているクリップ・ピンの種類が10種類以上あり、それぞれのクリップ・ピンに応じた取り外し方を試行錯誤しながら作業を進めるので、慣れるまでに苦労しました。

防振材のジェトレックスを貼り付ける際には上から押し付けて圧着するのですが、圧着時にヘラやローラー(画像の右側)を使用すると楽に作業ができました。また、作業しているとブチルゴムが手や工具類に付着するので、これを除去するためにパーツクリーナーとウェスが有効でした。ブチルゴムが付着した手や工具類が内装に触れると、内装に黒いブチルゴムが付着してしまい内装を汚してしまうので注意が必要です。

これらの道具もAmazonで購入することができました。

床面の施工

まずは手始めにリアのラゲージスペースの床面に防振材を短冊状にカットして適当な間隔で貼り付け、その上から断熱材を貼りました。エブリイはラゲージスペースに3つの点検口(バッテリー用、リアヒーター用、車載工具庫用)があるので、これらの点検口の蓋が開けられるように分割して貼り付けました。

次にリアシート、リアシートベルト、スライドドア側のサイドステップカバーを取り外して、後部座席の床に同じように防振材を短冊状にカットして適当な間隔で貼り付け、その上から断熱材を貼りました。ここでの注意点は、床にあるリアシートの固定ボルト用の凹穴の周辺とサイドステップカバーを被せる床面に断熱材を貼ってしまうと、厚みが増えてしまって復元作業の時にカバーが取り付けられなくなるので注意が必要です。

最後にフロントシート、タイヤハウスカバー、フロントドア側のサイドステップカバーを取り外して、同じように防振材を短冊状にカットして適当な間隔で貼り付け、その上から断熱材を貼りました。各フロントシートの下にはエンジンの点検口があるので、シートの下に取り付けられている蓋にも断熱材を貼りました。ここでの注意点は、後部座席の床と同様にサイドステップカバーを被せる床面に断熱材を貼ってしまうと、復元作業との時に厚みが増えてしまってカバーが取り付けられなくなるので注意が必要です。

リア側面の施工

サイドパネル、リアピラーカバー、リアシートベルトを取り外して、防振材を短冊状にカットして貼り付け、その上から断熱材を貼りました。リアタイヤハウスの部分に大きな空間があったので、そこには建材の住宅用断熱材(ファイバーグラス)を適当にカットして埋め込みました。この際にサイドパネルを固定するためのクリップ・ピンが入る穴を埋めないように断熱材をくり抜く作業が地味に面倒でした。

天井の施工

天井の加工作業では内装の内張りが非常に大きいのと、さらに内張りの裏側にリアハッチ系統の配線や配管が取り付けられているので、部品やクリップ・ピンの取り外し作業をする人と、天井の内張りを支える人との2人で作業しないと難しかったです。また、天井の内張りを外すためには、固定用のクリップ・ピンの他にオーバーヘッドコンソール、バックミラー、室内灯、サンバイザー、持ち手、フロントとセンターのピラーカバー、シートベルトなどの部品を事前に取り外す必要があります。その他に、内張りの裏側にはリアハッチ系統の配線や配管がとおっており、それを固定している強力な粘着テープを剥がすと天井の内張りが取り外せます。

天井の内張りが取り外せれば、3本のルーフを支えるフレームで区切られた4つのブロックごとに防振材を全面に貼り付け、その上から更に10mmの断熱材を貼りました。また、ルーフのフロント、リヤー、両サイドのオーバーヘッド部分は車体の強度を上げるために外装と内装の鉄板が二層構造となっているので、その二層の隙間部分の奥まで防振材と断熱材を貼り付けました。

最終的にリアハッチ系の配線と配管は元のように天井の内張りの裏側には固定せず、復元作業が楽な車体側に強力な養生テープで固定しました。

フロントドアの施工

フロントドアの内張りを取り外すと、防水用のビニールシートがブチルゴム系の接着剤で貼られています。というのはドアは外装側の鉄板と内装側の鉄板の2層構造となっており、その2層の鉄板の間にフロントガラスがスライドする機構が収納されています。そのような構造なのでドアとガラスの隙間から雨水が浸入するため、ドアの内側に侵入した雨水が車内に染み出さないようにビニールシートを貼って防水しています。また、外装の鉄板の裏側には強度を確保するための補強材(鉄製パイプなど)が取り付けられています。

まず最初に防水用のビニールシートを取り外すのですが、ビニールシートを貼るために使用しているブチルゴム系の接着剤はチューインガムのような状態なので、ビニールを引っ張りながらハサミで伸びたゴムを切りながら剥がしました。そして次に、ドアの内側は雨水の浸入とパワーウィンドウ用のグリスでかなり汚れているので、パーツクリーナで綺麗に汚れをふき取って準備完了です。

防振材は短冊状にカットして、外装側の鉄板や内装側の鉄板を指でノックしながら共振しなくなるように貼り付けました。内装側の鉄板はプレスで穴を抜いた部分にバリが残っているので、手袋を着用して作業しないと手を切るので注意が必要です。

防振材を貼り終えたら、防水用のビニールシートを基の位置に戻して、指で圧着すれば残っているブチルゴム系の接着剤で貼り付けられます。

フロントドアの内装パネルの裏側には7mmの断熱材を貼り付けました。内装パネルを固定するためのクリップ・ピンの部分を丸くくり抜く作業が地味に手間でした。

最後に内装パネルを基に戻す際、内装側の鉄板とフロントガラスの間に内装パネルの上部を差し込んで固定するのですが、この時内装パネルをしっかりと差し込まないと窓ガラスと干渉して動きが渋くなり、パワーウィンドウのオート操作での開閉ができなくなるので注意が必要です。

スライドドアの施工

電動式スライドドアは基本的にはフロントドアと同じ構造なので、施工方法は同様です。ただしスライドドアの内装パネルを取り外す作業中に、内側のドアノブを誤って押してしまうとドアが開き始めてしまうため、チャイルドロックを掛けて内側からドアが開かないようにしました。

スライドドア下部の三分の一は、外装と内装の二層構造の隙間に手を入れることができないため、防振材を貼ることができませんでした。最初は住宅用断熱材(ファイバーグラス)を詰めてしまおうかと思いましたが、雨水が浸入してくる部分なのでカビたりするのも嫌なので、今回は手を付けることはやめました。

スライドドアの内装パネルの裏側には7mmの断熱材を貼り付けました。内装パネルを復元する際は、フロントドアと同様にガラスの間に内装パネルの上部を差し込んで固定するので、内装パネルをしっかりと差し込むように注意しました。

リアハッチの施工

リアハッチも基本的には他のドアと同じような構造ですが、窓ガラスを開閉する機構がないため防水用のビニールシートはありません。防振材と断熱材の施工方法は他のドアと同様におこないました。リアハッチ左右の部分も外装と内装の二層構造の隙間に手を入れることができないため、防振材を貼ることができませんでした。そのため、住宅用断熱材(ファイバーグラス)縦横20cmの座布団状にしたものをジプロック(Mサイズ)に詰めたもの8個作成して、各4個ずつ左右の隙間に埋め込みました。

おまけの施工

サイドドアの窓にAmazonで購入したAizu(アイズ)製の「ウィンドーバグネット セカンド」を取り付けてみました。当初はサイドドアの内張りを取り外して装着するのかと思っていたので、今回の作業と一緒におこなうことにしたのですが、窓枠に挟み込むだけで簡単に取り付けることができました。

施行後の感想

晴天の25℃を越えるような夏日にルーフが触れないほど熱い状態でも、室内の天井は全く熱くならず、窓を開けていれば室内の気温は外気温と変わらず快適に過ごすことができるようになりました。今後、猛暑日や厳冬期に車中泊をした際、どのくらいの効果があるのか楽しみです。

また、以前は激しい雨の日に大粒の雨がルーフに当たるとカンカンとかん高い音が室内で響きましたが、ルーフ内側に防振・断熱加工を施工した後は低音のボツボツという感じの音に変化し、ルーフからの雨音は気にならなくなりました。

その他に、走行中に車体の下から漏れてくるロードノイズが減ったせいか、高速道路などを走行した際に室内が少し静かになったと思います。

次は、キャンプ道具やオートバイが効率良く積載・収納できるように、室内をDIYで改装しようかと思っています。

1件のコメント

  1. 山ごもりツールが凄いクオリティーで出来上がりましたね。

    あとは中々来ないバイクが来れば完璧ですね。

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